自己組織化とは何か―生物の形やリズムが生まれる原理を探る

自己組織化とは何か―生物の形やリズムが生まれる原理を探る (ブルーバックス)

自己組織化とは何か―生物の形やリズムが生まれる原理を探る (ブルーバックス)

読了。
複雑系に興味があったのでアマゾンの紹介文の「カオス理論とともに、『複雑系の科学』を支える自己組織化という考え方」というフレーズに惹かれて購入。読後の感想としては…期待通りの内容ではなかったかな。
自己組織化とはランダムな状態から秩序がある状態へと自分で組みあがってしまう現象のこと。本書ではその現象について具体例を中心に解説がなされている。
具体的な例が多く示されていたのはいいんだけど、化学やら生物学やらがさっぱり分からない人間にとっては理解するのに苦労する部分も多かった。個々の具体例には人工の味覚センサーやマイクロマシンなど興味深い話もあったけど、具体例に終始していた印象を受けたかな。もう少し自己組織化の概念について普遍的なと言うか総括的なと言うかそういう議論が読みたかった。
そして人工生命に関する章が微妙。

人工生命が人間を超えた時、人間は冷静な対応がとれるだろうか。
現実世界の生物にデジタル生命がとって代わることも非現実的ではなくなっている。

みたいなことが書いてあるんだけど、それは過大評価しすぎなんじゃないかなぁ。普通に非現実的だと思う。そもそも現実世界の生物をデジタル生命にとって代えるためには人間が間に入らないといけないわけだけどそんなことをする必要があるとも思えないし。この章だけ最後が結構批判的な締めだったせいもあるかもしれないけど、何かこれだけニュアンスが違った気がする。内容についても通り一遍のことが書いてあるでけで、人工生命について自己組織化の観点からしかできない議論があるかなと期待していただけに残念だった。